201-21「iPS細胞ストック事業への支援についての不透明な意思決定に関する質問主意書」質問答弁まとめ

委員長(それも野党委員長)の発言が質問主意書に載るパターンってあんまりない気がしたのでまとめてみます。

提出者:早稲田夕季議員(立国社)
答弁書受領:令和2年2月4日

www.shugiin.go.jp

 

-----以下、質問主意書の質問と答弁をそのまま抜き出しています-----

 

二〇一九年十一月二十七日の科学技術・イノベーション推進特別委員会における、京都大学iPS細胞研究所が行っているiPS細胞ストック事業への支援打ち切りの動きについての私の質問に関し、理事会協議事項となった件について、十二月九日の同委員会において、政府から説明があったものの、津村啓介委員長は、「政府の説明は、報道されている山中先生の発言内容との関係において、なお確認を要する部分がある旨、この間の理事会等でも議論があったところでございます。委員長といたしましては、今後とも理事会、委員会において継続して協議をお願いいたします。」と発言されている。

このことに関し、以下質問する。

 十二月九日の同委員会において、内閣官房健康・医療戦略室渡邉その子次長は、「内閣官房から、二〇年度から支援をゼロにすると伝えた事実はございません。」と発言したが、私が再三にわたり求めているにもかかわらず、そのように伝えられたと公言している山中伸弥所長に今日まで事実確認を取らないままであるのは、立法府に対してきわめて不適切な対応なのではないか。
相手の了解を得ぬままに、一方的に発言の事実を否定するのは、なんの根拠もなく虚偽答弁と言われても仕方がないのではないか。

一について
御指摘の発言については、iPS細胞ストック事業への支援の在り方について専門家から御意見を伺う過程において、令和元年八月九日に山中伸弥京都大学iPS細胞研究所長と意見交換を行った際に、内閣官房健康・医療戦略室から令和二年度から支援をゼロにすると伝えた事実はない、との同室の認識に基づき述べたものである。

 

 二〇一九年八月九日、京都大学iPS細胞研究所に対して、健康・医療戦略室の和泉洋人室長と大坪寛子次長が示した「iPS細胞ストック製造事業法人化の進め方」という表題の資料を、私は二〇二〇年一月十五日に内閣官房の国会連絡室を通して資料要求したところ、資料の存在は認めたものの、提出の手続きに時間がかかっているとのことで、一週間以上経ってもいまだに示されていない。
この資料は、どのような手続きにより決定されたのか。
具体的にいつ誰が原案を作成し、いつどのような会議に諮って、いつ誰の、どのような役職者の了承や裁可を経たものなのか。
適切な手続きを経ずに一部の官僚の独断で作成したからこそ、国会議員の資料要求に応じるための手続きにこれだけ時間がかかっているのではないか。

二について
御指摘の資料は、iPS細胞ストック事業に関する令和二年度以降の予算等の検討過程において、内閣官房健康・医療戦略室が内閣官房健康・医療戦略室長までの了承を得て作成したものである。

 

-----まとめ終わり----

 

この質問主意書には2つの委員会質疑が登場するので、とりあえず議事録の該当箇所を調べてみます。

 

---以下引用---

 

2019年11月27日 科学技術・イノベーション推進特別委員会

 

【早稲田委員】

次に、京大のiPS細胞研究所、CiRAへのiPS研究予算について伺います。

これは報道でございますが、十一月十一日、日本記者クラブでの山中伸弥所長の報道がございました。
報道によれば、拒絶反応が起きにくい再生医療を目指してiPS細胞を備蓄するストック事業への国の支援を減額する話が持ち上がっているということで、大変寝耳に水と。
事業を手がけてきた京都大学の山中所長は理不尽だとして支援の継続それからまた明確な説明を求めていると書かれております。
このことについては、内閣官房の当時の幹部が八月に山中所長を訪問し、突然、来年度からいきなりゼロにするという話があったと。
大変激怒をされている状況が、この報道からもわかります。
この事業の継続性という意味においても、研究の振興という意味についても、大変これは無謀であるのではないかと私も素人ながら思うわけです。
そのときに、そもそもこの研究費は、二〇一三年一月十一日に、安倍総理みずから、十年間で千百億円の支援をするということをお決めになりました。
であるならば、国は最後まで責任を持って、来年度も今年度と同様に二十七億円を支援すべきではないか、これが一点でございます。

それからもう一つ、配付資料させていただきました。
自民党案の配付資料でございますが、来年度から減額していき、二〇二三年度には支援をゼロにするような案も検討されているようでありますが、約束をしている、当初きちんと約束をされた二〇二二年度まではしっかりと支援をし、そして二三年度以降については透明性のある議論の中で検討をしていくべきと考えますが、文科省に伺います。

 

【青山大臣政務官

お答えいたします。

iPS細胞研究に対する支援は、二〇一二年の、先ほどお話がありました山中先生のノーベル賞受賞を契機として、総理の発言を受け、政府として十年間で一千百億円の支援を行うという方針を決め、これまで取り組んでおります。現在、二〇二〇年度概算要求についても、前年同額で概算要求をいたしております。

京都大学iPS細胞研究所、CiRAへの支援のうち、iPS細胞ストック事業については、将来的な支援方策を含む今後のあり方に関して、内閣官房が中心となって、関係府省と相談しながら検討しているところでございます。

iPS細胞は、我が国発のすばらしい技術です。
二〇二三年度以降の支援については、この十年間の成果や研究分野の最新動向も踏まえ、検討予定でございます。

文部科学省としては、引き続き着実な支援を行い、iPS細胞を活用した再生医療がいち早く国民に届くよう努めてまいります。

 

【早稲田委員】

今の御答弁を伺いますと、そもそもなぜこのようなことになっているのか大変疑問でございますが、御説明いただけますでしょうか。
なぜこのような記事が出て、山中所長が怒っていらっしゃるのか。
火のないところに煙は立たないわけですから、ぜひ教えていただきたいと思います。

 

【青山大臣政務官

報道の件に関しましては、文科省としては承知をしていないところでございまして、内閣官房のことでございますので、お答えする立場にございません。
差し控えさせていただきます。

 

【早稲田委員】

文科省としては承知をしていらっしゃらないと。
では、報道は見られたわけですよね。
それでびっくりされたということでしょうか。
はい。
じゃ、そのように、うなずいていらっしゃいますので、理解をいたしますとしても、では、内閣官房、どうなんでしょうか。
このことについて、そもそもどうしてこういうことが出たのかということを教えていただきたいと思います。

 

【渡邉(そ)政府参考人

お答えいたします。

医療分野の研究開発を推進するということを、関係府省と協力して、内閣官房健康・医療戦略室の方で進めているところでございますが、このような研究開発を推進するに当たりましては、私ども、研究の現場の皆様の意見をよくお聞きしながら、最近の取組や直面している課題についてお伺いをしながら、これを進めているところでございます。

そうした趣旨で検討を進めている段階のところでございまして、私どもとしても、御指摘のところに関しましては、まだ検討途上のことでございますので、記事の内容に関しましては承知をしていないというところでございます。

いずれにしましても、関係省庁一致しまして推進をしていくという方針に違いはございません。

 

【早稲田委員】

ちょっとおかしいんじゃないでしょうか。
文科省は御存じないとおっしゃっている、その中で関係省庁と話をしているというのは、非常に矛盾ではないですか。

大臣、手を挙げておられたので、お答えいただけるのでしょうか。

 

【竹本国務大臣

文科省の答えられたとおりでありまして、私の、内閣府の立場としては、それを含めて全体的に総合調整をしながら対応を図っているところであります。

先生おっしゃったように、政府が一旦約束したことはきちっと守るというのが政府の姿勢であることは当然であります。

 

【早稲田委員】

文科省のことも含めてとおっしゃいましたけれども、文科省は承知をしていない、だけれども検討はいろいろしているということでは、なかなか説明が理解できません。
そして、透明性な議論の中でそれをやっていただかないと。

じゃ、何かこれを議題として議論された会議があったんでしょうか。

 

【渡邉(そ)政府参考人

お答えいたします。

先ほど御説明いたしましたとおり、ふだんから関係の皆様と必要な予算を含めた議論を継続しているところでございまして、そういった内容、具体的なところにつきましては、現在調整中でございますので、詳細な御説明は控えさせていただきますが、いずれにしましても、iPSを活用した再生医療がいち早く国民に届くように進めていく姿勢に変わりはございません。

 

【早稲田委員】

ちょっとよくわかりません、理解ができません。
関係省庁でと言いながら、知らないと言っている府省もあるわけですから、それはちょっとお答えにならないのではないかと思いますが。

では、山中所長が勝手にこういう会見をされた、そういうことでしょうか。

 

【渡邉(そ)政府参考人

記者会見の詳細については、私どもも詳細を承知しているところではございませんが、もともと、記者クラブの五十周年の講演会の記念の折に、iPS細胞のこれまでの取組について山中所長が御講演され、その中で、今後とも力強い支援が必要だということを訴えられたのだというふうに仄聞いたしております。

 

【早稲田委員】

それでは答えになりません。

山中所長が講演をされたこと、これを承知していない、まあ、もう報道ではごらんになったんでしょうけれども、その中身を確認するわけでもなく、承知をしていないけれども府省で検討しているというのは、では、山中所長は蚊帳の外なんですか。
そういうことになります。
大変これは問題です。
千百億円も総理の案件でつけていながら、なぜ、それが突然こういう形で、山中所長の怒りの会見になるんでしょうか。

これは、事実確認を求めたいと思いますので、委員長にお取り計らいをお願いしたいと思います。

 

【津村委員長】

ちょっと速記をとめてください。
〔速記中止〕

 

【津村委員長】

速記を起こしてください。

それでは、後刻理事会でといたしますけれども、山中先生の御名誉にもかかわる事実関係ですので、文科省さん、内閣官房さんに事実関係を後ほど理事会で御報告をいただきたいというふうに思います。

大臣、それでよろしいでしょうか。

 

【竹本国務大臣

それで結構です。

 

---引用以上---

 

山中教授の会見での発言内容について、理事会で事実関係を確認しましょうという流れになったわけですね。

では、二つ目の質疑です。

 

---以下引用---

 

2019年12月9日 科学技術・イノベーション推進特別委員会

 

【津村委員長】

この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。
内閣官房健康・医療戦略室次長渡邉その子さん。

 

【渡邉政府参考人

御説明を申し上げます。

十一月二十七日、衆議院の科技特委におきます理事会協議事項につきまして御説明でございます。

医療分野の研究開発を推進するに当たりましては、研究の一線における最近の取組や課題について把握することは重要でございます。
専門調査委員会や参与会合等におきまして専門家から意見をいただいた上で、資源配分方針を健康・医療戦略推進本部で決定し、その方針に沿いまして、関係各省が必要な予算要求を行っております。

御指摘のiPS細胞ストック事業についても、我が国のiPS細胞研究全体にかかわる重要な事業でございまして、必要な支援のあり方について、内閣官房文部科学省厚生労働省経済産業省の関係省庁が連携して検討、調整を行っております。

山中教授の記者会見については、事前に御案内のあったものではございません。
記事の範囲で、したがいまして、承知しているところでございますが、山中教授については、上記のように、専門家から意見を伺う過程として、内閣官房がCiRAにお伺いして、意見交換を行ったものでございます。
その際に、内閣官房から、二〇年度から支援をゼロにすると伝えた事実はございません。

現在、その内容も踏まえまして、内閣官房の総合調整のもと、関係省庁が調整中でございまして、詳細について御説明することは差し控えさせていただきたいと思います。

いずれにしましても、今後とも、我が国のiPS細胞研究が着実に発展し、いち早く社会にその成果を還元することができますよう、関係者と十分協議しながら対応してまいりたいと存じます。

以上でございます。

 

【津村委員長】

ただいま政府から説明を聴取いたしましたが、政府の説明は、報道されている山中先生の発言内容との関係において、なお確認を要する部分がある旨、この間の理事会等でも議論があったところでございます。

委員長といたしましては、今後とも理事会、委員会において継続して協議をお願いいたします。

 

---引用以上---

 

 

 

以下、関連ニュース

bunshun.jp

bunshun.jp

 

('A`)

津村啓介委員長」の文字列を面白がって調べてたらこの件かよとなりましたほんとうにありがとうございました

 

 

早稲田議員の質疑に登場する山中所長の会見

www.jnpc.or.jp

www.nikkei.com

www.asahi.com

www.jiji.com

 

 

↓ (2019.12.6)

 

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www9.nhk.or.jp

 

 

質問主意書から広がる世界が広すぎてここで力尽きました_(:3 」∠)_