衆197-2.施行後二年目となる改正組織犯罪処罰法の施行状況に関する質問主意書

施行後二年目となる改正組織犯罪処罰法の施行状況に関する質問主意書

質問者:逢坂誠二議員

この「施行後二年目となる改正組織犯罪処罰法の施行状況に関する質問主意書」は、2017年7月から施行されている、いわゆる「テロ等準備罪」(共謀罪)について、その適用はあったか、などを確認する内容になっています。

 

-----【引用開始】-----

改正組織犯罪処罰法は平成29年7月11日に施行された。

平成29年11月、改正組織犯罪処罰法の施行状況に関する質問に対する答弁書(内閣衆質195第12号)では、改正組織犯罪処罰法の施行後、いわゆるテロ等準備罪の容疑で逮捕状を請求し発付された事例について、「お尋ねの件数は、現時点で把握している限りにおいては、いずれも0件である」と示された。

答弁書が示されてから、約1年が経過したが、改正組織犯罪処罰法の施行状況は必ずしも国民に詳らかになっていない。

この法律の施行状況に関して改めて確認したいので、以下質問する。

-----【引用終了】-----

 

以上はテロ等準備罪が施行されて4か月後に質問主意書を出しました、そのときは適用0件でしたがその後どうなったか質問しますね」という前置きの文章です。

 

 

-----【引用開始】-----

(1)改正組織犯罪処罰法の施行後、いわゆるテロ等準備罪の容疑で逮捕状を請求し発付された事例はあるのか。あるとすれば、その件数と概要を明示願いたい。

(2)改正組織犯罪処罰法の施行後、いわゆるテロ等準備罪の容疑で起訴された事例はあるのか。あるとすれば、その件数と概要を明示願いたい。

-----【引用終了】-----

 

(1)は法律の施行後にテロ等準備罪の容疑で逮捕状を出したことはありますか?という質問です。
(2)は法律の施行後にテロ等準備罪の容疑で起訴された事例はありますか?という質問です。

答弁書は両方とも「ゼロ件である」とのことでした。

 

-----【引用開始】-----

(3)改正組織犯罪処罰法の施行により、検察や警察の捜査手法に具体的に変化が生じているのか。政府の見解如何。

-----【引用終了】-----

 

(3)は法律の施行のよって捜査手法に何か変化は起きていませんか?政府としての見解は?という質問です。

答弁書を見てみましょう。

 

-----【引用開始】-----

お尋ねの「捜査手法に具体的に変化が生じているのか」の意味するところが必ずしも明らかではないが、犯罪の捜査は、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律(平成二十九年法律第六十七号。以下「改正法」という。)の施行の前後を問わず、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)等に定める適正な手続に従って行われているところ、改正法が施行され、我が国がテロを含む組織犯罪を防止し及びこれと戦うための国際協力を促進する上で重要な法的枠組みを定める国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約(以下「本条約」という。)を締結したことにより、テロを含む組織犯罪につき、本条約に基づく国際捜査共助等を求めることができるようになったものである。

-----【引用終了】-----

 

出たー!出ました!「お尋ねの○○の意味するところが必ずしも明らかではない」!

「そもそもこの法律は捜査手法に変化を生じさせるようなものではないのですよ」みたいなことが言いたいのかなと思いました(主観)。
「この法律は条約に基づく国際捜査共助等を求めることができるようになったものだから、そのご指摘はあたりませんよ」とか。どうでしょうか。

 

-----【引用開始】-----

(4)改正組織犯罪処罰法の施行後、いわゆるテロ等準備罪の容疑で逮捕状を請求し発付された事例がほとんどないのであれば、改正組織犯罪処罰法を制定する立法事実はなかったのではないか。政府の見解如何。

-----【引用終了】-----

 

(4)は法律の施行後、テロ等準備罪の容疑で逮捕状を出すような事例がほとんどないのであれば、この法律必要なかった(立法事実がなかった)んじゃないのー?って質問です。

答弁を見てみましょう。

 

-----【引用開始】-----

改正法は、本条約第五条1(a)(ⅰ)に規定する行為を犯罪化するものとして組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号)第六条の二第一項又は第二項の罪を新設するなど、本条約が定める義務を誠実に履行するための法整備を行うことを内容とするものであり、改正法が施行され、我が国が本条約を締結したことは、我が国が国際社会と協調して一層効果的にテロを含む組織犯罪を防止し及びこれと戦う上で大きな意義を有するものであり、「立法事実はなかった」との御指摘は当たらないと考えている。

-----【引用終了】-----

 

この法律によって国際社会と協調してテロと対峙できるようになった、そこに意味があるので「立法事実はなかった」なんてことはないですよ、という答弁ですね。

 

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以下参考資料

・改正組織犯罪処罰法(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案)については法務省のページをご覧ください

法務省:組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案

 

・改正組織犯罪処罰法の施行状況に関する質問に対する答弁書(内閣衆質195第12号)は以下の質問主意書のリンクからご確認ください

第195回国会 12 改正組織犯罪処罰法の施行状況に関する質問主意書

 

・また、この法律に関してはコトバンクのリンクが詳しいかと思います

kotobank.jp

 

逢坂誠二さんはこの法案について、本会議での反対討論に立っています。

 

youtu.be

www.minshin.or.jp

 

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質問主意書をどうやったらいろんな人に楽しんでもらえるか、いろんなパターンを考えながら投稿しています。
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※なお、引用部分は読みやすくするために改行や括弧、数字の修正を行なっております